今日学んだこと#
AWS Budgetsでアラートを受信した際の対応フローを整理しました。実際にFORECASTEDアラートを受信して対応した経験から、今後も使えるベストプラクティスとしてまとめました。
学習内容#
この記事を書いた経緯#
AWS Budgetsから予算超過のアラートメールを受信しました。調査の結果、過去のハンズオン環境のコストと一括費用(ドメイン購入)が原因と判明し、対応不要と判断できました。この対応フローは今後も役立つと考え、ベストプラクティスとして整理しました。
AWS Budgetsとは#
AWS Budgetsは、AWSの利用コストを監視し、設定した予算を超えそうな場合にアラートを通知するサービスです。月額の予算を設定しておくと、実績や予測がしきい値を超えた際にメールで通知を受け取れます。
AWS Budgetsのアラート種別#
AWS Budgetsには2種類のアラートがあります。
| 種別 | 意味 |
|---|---|
| ACTUAL | 実際にその金額を使った |
| FORECASTED | 月末にその金額になりそう(予測) |
出典: AWS公式ドキュメント - Best practices for AWS Budgets
FORECASTED予測の限界#
FORECASTEDは「現在のペースが月末まで続く」と仮定した線形予測です。この予測方法には限界があります。
| 状況 | 予測の問題点 |
|---|---|
| リソースを月の途中で削除した | 削除後もコストが継続する前提で計算される |
| ドメイン購入など一括費用が発生した | 毎日同額が発生する前提で計算される |
| ハンズオン環境を短期間だけ使用した | 月末まで使い続ける前提で計算される |
このため、FORECASTEDアラートは「参考程度」に捉え、ACTUALアラートを重視することをおすすめします。
アラート対応フロー#
Step 1: アラート種別の確認#
受信したメールでACTUAL/FORECASTEDを確認。
Step 2: Cost Explorerで原因特定#
- Cost Explorerにアクセス
- 期間を「今月(Month-to-date)」に設定
- Group byで「Service」を選択
- 異常に高いサービスを特定
Step 3: 原因の分類と対応#
| 原因 | 対応 |
|---|---|
| 一時的な費用(ドメイン購入等) | 対応不要、予測は無視 |
| 削除済みリソースの残存コスト | 対応不要、来月から減る |
| 起動中のリソース | 不要なら即削除 |
| 想定内の増加 | 予算設定を見直し |
Step 4: リソース確認(必要な場合のみ)#
原因が「起動中のリソース」の場合、以下のサービスを優先的に確認します。
| 優先度 | サービス | 確認場所 |
|---|---|---|
| 高 | NAT Gateway | VPCコンソール |
| 高 | EC2(全リージョン) | AWS Global View |
| 高 | RDS | RDSコンソール |
| 高 | ALB/ELB | EC2 → ロードバランサー |
| 中 | Elastic IP(未使用) | EC2 → Elastic IP |
これらのサービスは起動しているだけで課金が発生するため、不要であれば削除します。
AWS Global Viewを使った全リージョン確認#
EC2インスタンスは通常、リージョンごとにしか確認できません。しかし、AWS Global Viewを使えば、全リージョンのリソースを一画面で確認できます。今回の対応で実際に使用し、非常に便利だと感じました。
AWS Global Viewとは#
AWS Global Viewは、複数のAWSリージョンにまたがるEC2およびVPC関連リソースを単一のコンソールで表示できる機能です。
確認できるリソース#
- EC2インスタンス
- VPC
- サブネット
- セキュリティグループ
- EBSボリューム
- NAT Gateway
- Elastic IP
アクセス方法#
- AWSコンソールで「AWS Global View」を検索
- または直接アクセス: https://console.aws.amazon.com/ec2globalview/home
使い方#
- 「リージョンエクスプローラー」タブを開く
- 「リソースの概要」で全リージョンのインスタンス数を確認
- インスタンス数のリンクをクリックすると、全リージョンのインスタンス一覧が表示される
- 不要なインスタンスがあれば、リソースIDをクリックして該当リージョンのコンソールに移動し、削除
リージョンを切り替えながら確認する手間が省けるため、コスト調査の際に非常に便利です。
運用上のポイント#
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ハンズオン後の確認 | リソース削除を忘れないこと |
| 古い設定の整理 | 不要なBudgetは削除する |
| アラートの使い分け | ACTUALを重視、FORECASTEDは参考程度 |
まとめ#
- AWS Budgetsのアラートは ACTUAL(実績)と FORECASTED(予測)の2種類がある
- FORECASTED は線形予測のため、リソース削除や一括費用を考慮しない
- アラート受信時は Cost Explorer でサービス別に原因を特定する
- AWS Global View を使えば全リージョンのリソースを一画面で確認できる
- ハンズオン環境は使用後に必ずリソースを削除する